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Q&A

管端ステンレス鋼管とは何ですか?
異種金属を接触させてもさびないのですか?

管端ステンレス鋼管とは, 図-1 に示すように普通鋼管の両端部にステンレス鋼製の短管を溶接接合した製品であり, 現地内面塗装が困難な小口径の配管に用いられています。鋼管とステンレス鋼管が接触していますので, 管内に通水すると異種金属接触腐食が発生するのではないかと思われがちですが, 図のように鋼管-工場溶接部-ステンレス鋼製短管まで内面塗装が施されており, 鋼管部分は内容水と接触していませんので, 腐食電気回路は形成されず, 結果として異種金属接触腐食は発生しません。なお, 管の外面についても同様にステンレス鋼管部まで工場被覆または塗装が施されますので, 異種金属接触腐食のおそれはありませんが, 地中埋設用として用いる場合は, ステンレス鋼管部に外面塗覆装(ジョイントコート)を施す必要があります。

図-1  管端ステンレス鋼管(管端部)
図-1 管端ステンレス鋼管(管端部)

さて, 異種金属接触腐食とは「異なる種類の金属材料が電気的に接触し腐食環境中で相互に影響し合って生じる腐食現象」のことを言います。例えば,鉄片(マグネシウムよりも高い自然電位を示します。ここでは,カソード部品と呼びます。)とマグネシウム片(鉄よりも低い自然電位を示します。ここでは,アノード部品と呼びます。)をリード線で接続して海水中に浸漬すると,各材料の腐食速度は単独で浸漬した場合に比べ,それぞれ異なる値を示します。

一般に,単独浸漬した場合に比べてカソード部品は腐食速度が低下し,アノード部品は上昇します。この現象は両部品間で電気化学的相互作用が生じた結果です。

図-2  異種金属接触腐食の原理
図-2 異種金属接触腐食の原理

実構造物におけるその代表例がトタン板です。亜鉛めっき層に傷が付いた場合,1. 下地の鉄露出部分→2. 両金属の電気的接触部分→3. 亜鉛めっき層→4. 電解液(水)→1と電気回路が構成されることで亜鉛が犠牲的にアノード溶解し, 下地の鉄露出部分がカソード分極され, 結果として鉄の腐食速度が低下する効果が得られることになります。これは積極的に異種金属接触腐食を防食目的に適用した例ですが, このような機構を意図せずに, ステンレス鋼製のフランジに鋼製のボルト・ナットを用いたらどうなるでしょうか。この場合にはステンレス鋼の自然電位が鋼に比べて高いため, 湿潤環境下ではボルト・ナットが犠牲陽極となり, 選択的に腐食が進行します。

 

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