WSP

用語集:さ行

サージング: Surging
一般的には、ポンプなどの流体機械において、配管を含めた系が一種の自励振動を起こし、特有の定まった周期で吐出圧力および吐出量が変動する現象を言う。水道パイプラインでは、急激なバルブ操作等によりパイプライン途中に設けられた水槽の自由水面が振動し、長時間収束しない現象もサージングと呼ぶ。
SUS: Steel Use Stainless
SUSとはステンレス鋼のことで、「耐食性を向上させる目的で、鉄(Fe)を主成分としてクロム(Cr)やニッケル(Ni)を含有させた合金鋼で、一般的にはクロム含有量が約12%以上の鋼」と定義される。 ステンレス鋼は耐食性、耐熱性、その他の機械的諸性質が優れることから、各種化学工業用、高温高圧用、原子力用、極低温および水道・屋外配管などに広く利用されている。水道分野では鋼板は配水池に、鋼管は浄水場内の配管や水管橋などに利用されている。
座屈: Buckling
鋼材に強い圧縮力を作用させると、構造的に不安定となり、材料が局部的に塑性化するような現象が起こる。これを「座屈」と呼び、兵庫県南部地震における道路橋の橋脚などでは、「提灯座屈」(中間で膨れるような変形を伴う座屈)の被害が見られた。
さび(錆、銹):Rust
鋼の表面に生成される鉄を主成分とした水酸化物や酸化物。
さびこぶ: Tubercle
鉄鋼の表面に生じるこぶ状の腐食生成物。
サブマージアーク溶接: Submerged arc welding
フラックス中において、溶接ワイヤと母材との間のアークから生じるアーク熱で溶接する方法。主として自動アーク溶接に用いられる。
残置: Left-in-place material
土留用の鋼矢板などに使用した仮設工事の材料を、取り除かず埋め込んだままにすること。
シーム溶接: Seam welding
ローラ電極を用いて加圧及び通電を行い、電極を回転しながら継手に沿って連続的に溶接する抵抗溶接の一種。通常は重ね溶接であるが、特殊な例として電縫管のシーム溶接がある。
シールドガス: Shielding gas for welding
溶接中にアークと溶融金属を覆い、空気が溶接雰囲気内に侵入することを防ぐために用いるガス。ガスの種類として、二酸化炭素、アルゴン、酸素のほか、窒素、ヘリウム、水素がある。これらのガスの中で、二酸化炭素、アルゴンをそれぞれ単独に用いるものと、アルゴンと二酸化炭素またはアルゴンと酸素を混合したガスが多く用いられている。
シールド工法: Shield tunneling method
立坑を掘り発進基地を設けた後、鋼製の筒(シールド)をジャッキで押しながらトンネルを掘り進め、シールドの後部で鋼製又はコンクリート製の履工部材を組み立てる工法。
JIWA:Japan Industrial Water Association
日本工業用水協会の略称。工業用水に係する調査・研究、工業用水道の水資源開発、工業用水道計画等調査、水質分析を基盤とする環境調査と計量法に基づく計量証明書の発行、JIS規格の原案作成、地下水の開発、利用、管理指導等の業務を行っている。
JWWA:Japan Water Works Association
日本水道協会の略称、又は日本水道協会規格の総称。水道事業経営や水道の技術及び水質問題について調査研究を行う。水道用品の検査、給水器具の品質認証、ISO規格に基づく品質システム審査登録等の業務を行っている。
JWES: Japan Welding Engineering Society
日本溶接協会の略称。溶接に関する当協会規格-WES-の制定・改正、JIS原案の作成、ISO・IECなどの国際規格への対応業務、溶接の調査・研究、広報活動等、溶接に関する様々な業務を行っている。
試掘: Test pitting
工事に先立って、地下埋設物の位置や地盤の状況などを確認・調査するために、地盤を掘削すること。
JIS: Japanese Industrial Standards
日本工業規格の総称。工業標準化に基づき制定される国家規格とし、生産におけるコストの低減、取引の単純公正化、使用・消費の合理化等の役割を果たしている。
施設重要度: Level of facility importance
1995年に発生した兵庫県南部地震以降、水道施設の耐震設計に関する基本的な考え方が改められた。主な変更点は、各施設をその重要度に応じて分類した点と、想定地震動を2つの地震動レベルに分類した点である。各施設は、次表に示すように、その重要度に応じて想定地震動に対する許容被害レベルが規定されている。

施設重要度
重要度 内 容
ランクA (需要度大) (1) 重大な二次災害を起こす可能性のある施設
(2) 水道システムの中でも上流に位置する施設
(3) 基幹施設であって、代替施設のないもの
(4) 重要施設等への供給管路
(5) 復旧困難な基幹施設
(6) 被災時の情報収集の中心となる施設
ランクB ランクA以外の施設


要求耐震水準
施設需要度 地震動レベル1 地震動レベル2
ランクA 無被害であること。 人命に重大な影響を与えないこと。
個々の施設に軽微な被害が生じても、その機能保持が可能であること。
ランクB 個々の施設に軽微な被害が生じても、その機能保持が可能であること。 個々の施設には構造的損傷があっても、水道システム全体としての機能を保てること。また早期復旧が可能なこと。
湿食: Wet corrosion
水(液体)が存在する環境において起こる腐食。
自動アーク溶接: Automatic arc welding
溶接作業者が常時、操作しなくても連続的に溶接が進行するような装置を用いて行うアーク溶接の総称。サブマージアーク溶接とガスシールドアーク溶接などは、自動溶接方式として広く利用されている。溶接に必要な制御が自動的に行われるため、個人差がなく品質の安定した溶接が可能で、また、高い電流密度が得られる高能率な溶接法である。
自動車荷重: Load of wheel
一般に、水道管路は道路下に埋設されることが多く、上載荷重として自動車荷重を考慮する。(T-25荷重参照)
自動溶接: Automatic welding
操作者が常時操作しなくても、連続的に溶接が進行するような装置を用いて行う溶接の総称。サブマージアーク溶接、ガスシールド溶接、エレクトロスラグ溶接、抵抗溶接などは、自動溶接方式として広く利用されている。溶接に必要な制御が自動的に行われるため、個人差がなく品質の安定した溶接が行われる。
地盤: ground
建設工事の対象となる地球の表層部分。構造物の基礎や掘削などの対象となる土地。
地盤改良工法: Soil improvement method
一般に、軟弱な地盤を改良し、強度の増加や沈下の軽減などを目的とした工事の方法。
締固め: Compaction
土やコンクリートの中の隙間を取り除いて固く密着した状態にすること。振動を加えて締固めることが多い。
主荷重: Primary load
布設後の供用期間中に長期にわたって管路に作用する荷重であり、土圧や自動車荷重等の上載荷重、管自重、管内水重などがある。
従荷重: Secondary load
供用期間中長期にわたって作用する主荷重に対し、施工時や供用中であってもごく希にかつ短期間に作用する荷重を従荷重と呼ぶ。施工時荷重や水撃圧などがこれに相当する。
衝撃係数: Impact factor
自動車は道路上を走行するため、荷重は静的に作用するのではなく、動的に作用する。したがって、瞬間的には自動車の重量以上の荷重が管の上載荷重として作用することになる。衝撃係数は、このような動的荷重を表現するための係数であり、管の土被りに応じて、0~0.5の値をとる
照合電極: Reference electrode
電位の一定した電極。水素電極(SHE、NHE)、カロメル電極(SCE)、塩化銀電極、硫酸銅電極などがある。参照電極や基準電極とも言い、金属の電位はこの電極電位との差で表す。
使用率: Duty cycle
断続負荷の状態において、全体の時間に対する通電時間の割合を百分率(%)で表したもの。溶接機においては、JISで使用率が決められていて、例えばアーク溶接機は20~60%、スポット溶接機は10%などである。
シルト: Silt
74μm以下の細粒分を半分以上含む土。塑性指数が低く、変形するときに膨張するなどの性質を持つ。
震度階: Intensity scale
震度は、地震動の強さの程度を表すもので、現在の気象庁震度階は、全国600箇所に設置された震度計による観測値から計算され、震度0(無感)~震度7(激震)まで10段階に区分されている。計測震度は、震度計内部で観測された加速度データ3成分(水平動2成分、上下動1成分)のそれぞれをフィルター処理した後、ベクトル波形を合成し、この絶対値がある値 a 以上となる時間の合計を計算したとき、これがちょうど 0.3秒となるような a を求め、この a から I = 2 log a + 0.94 により計測震度Iを計算することで求める。
震度法: Seismic coefficient method
耐震設計法の一種。鋼製配水池などの地上構造物に対する耐震設計に用いられる。地震時に地上構造物に作用する水平方向・鉛直方向の加速度と構造物の質量との積が地震時荷重として静的に作用するものとして計算を行う。
水撃圧: Pressure of water hammer
管路供用時に常時作用する管内水圧とは別に、送水ポンプの停止や、緊急遮断弁の急閉鎖等で管内に水撃現象が発生した場合を想定したものである。鋼管の設計上、水撃圧は、一般に0.5MPa程度とされている。
推進工法: Pipe jacking method
さや管または鋼管をジャッキにより圧入または牽引して管を布設する工法。地盤状況に応じて圧気工法、薬液注入工法、泥水工法などを併用する。
水素ぜい(脆)化: Hydrogen embrittlement
溶接や腐食などによって生じた水素が金属中に吸蔵されて、材質がもろくなる現象。
水中溶接: Underwater welding
淡水中又は海水中で行う溶接。水中溶接には湿式、乾式、局部乾式の3つの方法がある。湿式は、溶接者が水中に入って溶接し、溶接部も直接水環境に接するのに対し、乾式は、溶接者は水が完全に排除されたチャンバ中に入って溶接する方法で、溶接部も溶接時には水環境に接しない。また、局部乾式では、溶接者は水中にあって、溶接箇所のみある範囲にわたって局部的に排水した状態で施工する溶接方法。
垂直公式: Vertical defflection method
地中埋設管の鉛直土圧を評価する式で、 埋設管の投影面積分の上載土質量がそのまま管に作用するとしたモデル。土被りが2.0 m以下の場合や、 矢板工法による施工の場合の設計に用いる。
水頭:Head
水の持つ運動エネルギー、圧力エネルギーをすべて位置エネルギーの形に変換し、これを静止水柱の高さとして表したもの。ベルヌーイの定理は、次のように与えられる。
( 全水頭 )=( 位置水頭 )+( 速度水頭 )+( 損失水頭 )
水平変位振幅: Horizontal displacement amplitude
管の水平方向の振れ幅。埋設鋼管の耐震設計において用いられる応答変位法により計算される。
水理公式: Hydraulic formulas
水理設計に用いられる公式。管水路の水理公式としては、種々のものがあるが、次に示すヘーゼン・ウイリアムス(Hazen-Williams)式が最も代表的である。
水理公式
ここに、
H: 圧力損失水頭 (m)
C: 流速係数 (鋼管の場合、 屈曲部損失を除き130、 含めた場合110)
D: 管内径 (m)
Q: 流 量 (m3/s)
L: 管路長 (m)
水理設計: Hydraulic design
与えられた圧力条件の下で、ある距離を隔てた2点間を管路で結び、最も経済的に所要量の水を輸送するために必要な管路の諸元(口径)を決定する作業。管径を大きくし過ぎると圧力損失が低下するが、管路布設費が高くなり、反対に管径を小さくし過ぎると圧力損失が大となり、場合によってはポンプ設備等が必要となるため、水理設計は施設の経済性を左右する重要な作業といえる。制約条件としては、損失水頭のほか、管内平均流速(一般に0.3~3.0m/s程度)の範囲がある。また、ネットワーク状の複雑な管路については、管網解析により他管路の影響を確認する必要がある。
すき間腐食: Crevice corrosion
片面が鋼で構成されるすき間において、イオンの濃縮、酸素の消費等により濃淡電池が形成され生じる腐食。
スパングラーの分布モデル: Spangler's model
埋設とう性管の水平たわみを計算するアイオワ公式の導出に先立ち、M. G. Spanglerが提案した「Fill-load hypothesis」と呼ばれる仮説(1. 管の上載荷重はMarstonの式で決定される。2. 管底における鉛直方向反力は管の上載荷重に等しく、この反力は管の支持角全体にほぼ等分布となる。3. 水平方向主働土圧は管中心100゚の範囲に放物線分布で作用し、土圧の最大値は、「土の反力係数」×0.5×「管の水平方向たわみ量」で与えられる。)。アイオワ公式は、このモデルと弾性リング理論を基に導出された。
スプラングラー
Fig. スパングラーのモデル
スポット溶接: Spot welding
重ね合わせた母材を電極チップではさみ、加圧しながら電流を流し、ここに発生する抵抗熱を利用して点状に溶接する代表的な抵抗溶接で点溶接ともいう。
スポット溶接機: Spot welding machine
スポット溶接を行うための抵抗溶接機。大きな溶接電流を得るための溶接変圧器、その電流を溶接部に導く二次導体、大きな加圧力を得るための加圧シリンダ、溶接電流と加圧力を溶接部に加える電極チップホルダおよび電極チップ、加圧動作や溶接電流を制御する制御装置などにより構成されている。
素掘施工: Pipe laying with no soil retaining method
矢板などの土留めを用いずに行う開削工法の総称。
スラスト力: Hydraulic thrust
管内の圧力や水流によって管軸方向に作用する推力。「不平均力」とも言う。曲管部や分岐管部では、管の抜け出し力として作用する。メカニカル継手管の場合、溶接継手と異なり、このような異形管部においては、スラスト力による管の抜け出し防止のため、コンクリート製のスラストブロックの設置や特殊押し輪の設置などの対策が必要となる。
静水圧: Hydrostatic pressure
ある点において、流れがない状態での水圧。
施工時荷重:Load of bulldozer
鋼管の布設時には、完成・供用後に作用する荷重条件とは異なり、施工時特有の荷重が管に作用する。例えば、建設重機の荷重が挙げられるが、鋼管の設計に際しては、従荷重としてこのような施工時荷重を考慮しなければならない。
設計基盤: Base foundation for design
埋設鋼管の耐震設計においてモデル化される表層地盤の下にある比較的堅固な地盤。表層地盤と基盤との境界を特に基盤面という。基盤では地震波が比較的安定した状態で伝播するため、地盤の性質に依らない地震の特性が現れる。応答変位法では、基盤面に入射する地震波が場所に依らない性質を利用し、この地震波が表層地盤に入力された場合の地表面近傍での地震応答を求めている。
設計水平震度: Horizontal seismic intensity for design
埋設鋼管の耐震設計で、基盤面における水平方向の震度を「基準水平震度」というが、この基準水平震度に地域毎に異なる補正係数(地域別補正係数)を乗じたもの。地震動レベル1における地盤の水平変位振幅の計算に用いられる。
全面腐食: General corrosion
化学的あるいは電気的に均質な環境において、金属表面の全面的かつ一様に進行する腐食。この形態の腐食は、寿命を推定することが難しくなく、実用上あまり問題を生じない。
側方流動: Land slide
地震時の地盤液状化に伴って護岸や傾斜地盤で発生する大規模な水平方向の永久地盤変状をいう。埋設鋼管の耐震設計においては、通常地震動に対する構造安全性の検討を行うが、液状化発生確率の高い護岸近傍や傾斜地盤における管路の場合には、側方流動によって発生する地盤変位を考慮した検討が別途必要となる。
速度応答スペクトル: Earthquake response spectrum
地震動に対し、1自由度系の最大応答を系の固有周期を横軸にとって図示したものを「応答スペクトル」と呼ぶ。表層地盤内を伝播する地震波速度に関する応答スペクトルを「速度応答スペクトル」と呼び、応答変位法に基づく耐震設計において、地盤の水平変位振幅の計算に用いられる。
塑性域: Plastic region
鋼材に除々に大きな引張力を作用させていくと、ある値以上では、除荷しても元の形状に戻らず、永久変形が残るようになる。このような領域を「塑性域」といい、弾性域との境界点を「降伏点」と呼ぶ。鋼材の塑性域は非常に広く、鋼材は降伏してから破断に至るまで25~30%程度の変形能力がある。また、一旦塑性化した鋼材であっても、永久変形は残るが、材料強度や特性が変化する訳ではない。
粗度係数: Factor of roughness
マニングの式において用いられる摩擦損失係数。n値ともいわれる。鋼管の場合 0.012程度の値が標準的に用いられる。
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